競走馬の病気や、知られていない実体などを紹介。
<ソエ> 競馬場に入ってきたばかりの若駒にはトラブルが付いて回る。 もっとも、馬の二歳とは、人で言う小・中学生位にあたるのだから、そんな成長期に過度のトレーニングを施して無事なわけがない。 そんな若駒特有の疾病として”ソエ”が有名だ。競馬場では夏から秋にかけてよくこの言葉を耳にする。 予後は良好(危険度が低い)なこの病気だが、一部の競馬場等では信じられない治療法が曲がり通っている。まずはこの病について説明する。 <ソエとは> ソエは俗名で、正式な病名は”管骨骨膜炎(第三中手骨膜炎)”という。前ひざ下のすねのような部分(管骨)が骨膜炎を発症し、2歳馬の跛行(ハコウ)の最も多い原因の一つである。発症のメカニズムは正確には不明であるが、おそらく、未熟な管骨背側面に過剰な力がかかることにより起こるものと考えられている。 症状としては、管骨部に腫脹と熱感が確認され、軽い圧迫でいちじるしい疼痛を示す。また、跛行を起こすことも多く、比較的発見しやすい。 この病にとっては休養が一番の薬となる。10日程度の休養で良化し、この期間中”抗炎症剤”の投与や、湿布を行う。予後は良好ではあるが、疼痛のひどい場合や、再発のある場合などでは、骨折の可能性があるため、レントゲン診断を必要とする。 病後の調教の際には、脚下患部の負荷を考慮して、当面はウッドチップ等で軽めの調整から行うのが好ましい。 <ソエにまつわる奇妙な習慣> 一昔前には、自分の管理馬がソエになったときに、調教師が赤飯を炊くという風習があったそうだ。これは「スピード馬がソエにかかりやすい」と信じられていたためで、この疾病を期待する者も多くいたそうだ。これについての科学的根拠は疑わしく、さすがに現在ではあまり行われてないと思う・・・。 もう一つの奇習・因習として、”焼烙治療”というものがある。 これは、患部表面を焼こて等で火傷をおわせ、ソエの回復を高めることを期待するものだが、常識的に考えても何の効果もなく(人にたとえると、骨折の治療のためにやけどを負わすようなもの)、まったくの悪習であるが、しかし、いまだに多くの厩舎で行われているようだ。 なお、この”焼烙治療”の派生で、薬品により患部表面を焼け爛れさせる”ブリスター治療”という忌まわしいものも存在する。 このような、指導する立場の人間の知識不足が、どれほど無意味に馬を傷つけているかを、競馬関係者は良く考えるべきである。
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